ポップス黄金時代〜 Popular Hit Parade 〜

1950年代から現代までの、洋楽ポップス・ヒストリーを華やかに彩った偉大なるアーティスト達と、その時代に輝く名曲の数々を辿って参ります。
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ロバート・ゼメキス監督、スティーブン・スピルバーグ製作総指揮の大ヒット映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は合計3本作られておりますが、その第1作が何と言っても傑作中の傑作で、公開当時、私は映画館の中で狂喜乱舞した記憶があります。

この映画は、数あるアメリカ映画の中でも特に自分のお気に入りとして、忘れられない1本である事には間違いありません。
ストーリーの中で、その設定の見事さに思わずうなってしまいました。

映画が公開されたのが1985年で、物語も1985年のアメリカが舞台となっており、そこから30年前の1955年にタイムスリップするという設定です。
そして、その劇中の1955年の時代考証も完璧ですし、中で登場して来る当時の音楽の使い方が上手い具合にキーワードとなっており、1955年という時代が見事に演出されている所がとにかくニクイったらありゃしない!のです。

主人公のロック好きの高校生マーティがタイムスリップした1955年のヒルバレーは、まだロックンロール前夜で、町の通りではコーデッツ1954年のヒット曲「ミスター・サンドマン」が聞こえて来ます。
まず、うーん、なるほど、と思えたシーンですね。

それから、結婚前の両親を結びつけるために、両親が通っている高校のダンスパーティーのステージで、手を怪我してギターが弾けなくなった黒人バンドのメンバーの替わりに一緒に演奏するハメになるのですが、そこで両親にダンスを踊ってもらってキスをさせる為に演奏するバラードが、かのペンギンズ1955年のヒット曲「アース・エンジェル」、時代的にもこの曲で完璧です。

目出たくカップルになった両親の前で何かもう1曲やってくれというリクエストに答えて、ちょっと古いオールディーズだが、と断りを入れて演奏し始めるのが「ジョニー・B・グッド」。
フロアにいる皆は、初めて聞くその曲のビートに当分ポカンとしているが、やがて一斉にジルバを踊り出して盛り上がる。

マーティ自身も盛り上がって行って、ギターを弾きながらダック・ウオークをキメたり、段々とエスカレートして行って、しまいにはバン・ヘイレンの様にギターアンプに飛び乗ってそこからジャンプしたりして観客の皆から唖然とされる、そして「君達には少し早かったかも」と言う。
「ジョニー・B・グッド」の実際のリリースは1958年ですからね。

その演奏中に舞台ソデで、手を怪我したギタリストが電話をかけて「おお、チャック、いとこのマービンだよ。お前、新しいサウンドを探してたろ、これ聞いてみろ!」と受話器をステージの方へ向ける。
これを聞いてチャック・ベリーが「ジョニー・B・グッド」を作った思わせるシーンになっているという、誠に心ニクイ演出でした。

ちなみにメンバー全員が黒人のこのバンド、「マービン・ベリーとスターライターズ」なんて、いかにも、と言うバンド名が付いていましたっけ。

ただ1点、「あれ?」と思って映画館の中でスクリーンに指を指して思わず立ち上がりそうになったシーンがありました。
このパーティーの演奏シーンで主人公のマーティが、黒人バンドのメンバーからその場で借りて弾くギターがピカピカのギブソンの赤いES-345でビグスビーのトレモロアーム付きのモデルなのですが、このギターは1955年にはまだ世の中に登場していないギターで、ES-335が1958年に発売され、その上級機種のES-345はその翌年の1959年の発売なのです。
1955年であれば、エレキも当然まだフルアコのギターであるべきなのです。

他の全てが完璧な映画で、ギター1本という、こんな簡単な所で時代考証をミスるはずがないのに何やってるんだ、でも何故だろう?と疑問に思いますよね。

その疑問はしばらく晴れる事がなかったのですが、それから数年後、チャック・ベリーの比較的最近のライブDVDを見ていて思わず「これだ!」と叫んでしまいました。
そこには、ギブソンの赤いES-345でビグスビーのトレモロアーム付きのモデルを抱えて、弾きながらダック・ウオークをキメるチャック・ベリーの姿がありました。

そうなんです、映画の演奏シーンに使ったギブソンの赤いES-345は、ロックンロールの偉大なるオリジネーターの1人として、ジョニー・B・グッドの作者であるチャック・ベリーへのトリビュートとして、指摘されるのも分かっていながら敢えてギブソンのES-345を使った、という事なんですねえ。
私の「おかしいじゃないか!」という指摘はただ単に短絡的だったという訳で、それまでの胸のつかえがスーっと無くなってしまいました。

そうだったんだ・・・
ロバート・ゼメキス様、スピルバーグ様、いやあ、おみそれ致しました! チャンチャン。

ここに第1作のあらすじも載せておきます。



あらすじ:
1985年。カリフォルニア州の町、ヒルバレーに住む、ロック好きの高校生マーティ・マクフライは、深夜のショッピングモール「ツイン・パインズ・モール」の駐車場で、親友である科学者エメット・ブラウン博士(通称ドク)が開発したタイムマシン実験を手伝う。その時、ドクが燃料のプルトニウム獲得のために騙したリビアの過激派が現れ、ドクは機関銃で撃ち殺されてしまう。過激派から逃げるマーティはタイムマシン・デロリアンに乗り込みカーチェイスの末、30年前の1955年にタイムスリップしてしまう。

1955年のヒルバレーにタイムスリップしてしまったマーティは再び元の時代へ戻ろうとするも、燃料切れで帰れなくなってしまう。燃料のプルトニウムを手に入れるべく、まず、若きドクを探す。しかし、1955年のヒルバレーを訪れたマーティは、途中自分の両親に出会ってしまい、以前より母親から散々聞かされていた父親との出会いのきっかけを邪魔しただけでなく、更に若い頃の母親に一目惚れされてしまう。

なんとかドクを発見したマーティは状況を説明し、デロリアンを修理して未来へ帰る為、ドクにタイムマシンの実験を撮影したビデオを見せる。しかしドクは、タイムマシンを稼動させるプルトニウムなど手に入らない、そのような膨大なエネルギーは雷でも利用しない限り無理だ、と言う。愕然とするマーティ。

その時、ポケットにある紙切れに気付く。1985年の昼間受け取った、落雷によって故障した時計台の修理費用の寄付を募るチラシであった。故障した日時はちょうど1週間後の夜10時4分、この落雷を利用するしかない。

未来へ帰る目処は立ったものの、マーティが両親に出会ってしまった為に歴史を変えてしまい、このままでは自分が消えてしまうと知る。マーティは、自分の存在を確実にするため両親をくっつける為に奮闘する事になってしまうのだった。

一方、別の問題もあった。過激派に撃たれてしまうドクを助ける為、1955年のドクにその事実を伝えようとするが、当のドク本人は未来を知って歴史を変えるのは危険だとして聞くのを頑なに拒んでいた。

落雷のタイムリミットが迫る中、なんとか母ロレインと父ジョージをくっつけたマーティは、時計台へ落ちる雷を利用して1985年へ戻ろうとするが、未来の事実を書いたドク宛ての手紙がドク自身に発見されてしまい、破かれてしまう。

タイムマシンを利用し元の時間より少し早く1985年へ帰って来たマーティは、ドクに事実を伝えて警告しようとするが、デロリアンが故障してエンジンがかからない。そうこうしているうちに過激派がショッピングモールの駐車場へ到着してしまい、マーティの目の前で悲劇は繰り返されてしまった。

横たわるドクの傍らで力なく咽び泣くマーティだったが、突如ドクが起き上がる。驚くマーティに、ドクは防弾チョッキと、テープで修復した手紙を見せるのだった。

改めて時間旅行に出かけるドクを見送り、家へ戻ったマーティは、状況が少し変化しているのに気付く。マーティの介入で、弱虫だった父のジョージは自分に自信を持ち、立派な小説家になっていたのだ。恋人ジェニファーとの仲を認めなかった堅物の母も、二人の仲を認めていた。

買ってもらった車に乗って、ジェニファーとドライブへ行こうとするマーティだっだが、そこにデロリアンに乗ったドクが現われる。ドクはマーティらの未来の子供が窮地に陥っていると告げる。しぶしぶ従うマーティとジェニファーを乗せ、デロリアンは未来へと消えて行った。

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