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ポップス黄金時代~ Popular Hit Parade ~

1950年代から現代までの、洋楽ポップス・ヒストリーを華やかに彩った偉大なるアーティスト達と、その時代に輝く名曲の数々を辿って参ります。
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これもまた、日本では大変おなじみの曲ですが、「恋の売り込み/I'm gonna knock on your door」は、当時まだ14才というエディ・ホッジスが1961年に放ったデビュー・ヒット曲です。

まずはイントロのテンポに合わせてこのドアのノック音とベルを鳴らす音が出てくるという上手いアイデアで始まりまして、そこですでに聞く人の心を持って行ってしまう、やはりSEを効果的に使って大成功した、そんなヒット曲でした。

彼女の家の前でトントントンとドアをノックし、リンリンリンとベルを鳴らす、家から出て来て一緒に月の夜を二人で楽しく過ごそうよ、と彼女を誘っている、そんな意味の歌詞でしょうか。

ミドルティーンの入り口に差し掛かったばかりのエディ・ホッジス君が、屈託なく楽しく歌っています。

しかし14才というと日本ではまだ義務教育真っただ中、そこで芸能界で一躍スターダムに躍り出るとその後の人生が随分と変わってしまったのでは、なんて想像を巡らしてしまいますが、これも要らぬ詮索なのでしょうね。

ちなみに当時の日本ではこの曲を伊東ゆかりさんがカバーしてヒットさせており、「さあ出ておいでよ」と楽しく歌われておりました。


「恋の売り込み」~オリジナル音源

ボビー・ビーは、1961年にリリースしたこの「Take Good Care Of My Baby」で、デビュー以降初めて全米ヒットチャートのNo.1を獲得しまして、この曲が彼の代表作と言われております。

いかにもヒットします、という様なメロディラインを持っており、この時代の匂いがプンプンする楽曲ですが、この曲の作詞・作曲は、かのゲーリーゴフィン/キャロル・キングのおしどり夫婦コンビ、さすがですねえ。

冒頭のバースの部分からすでにロマンチック・ムード満開、すぐにアップテンポに変わってボビー・ビーが快調に歌い上げておりまして、サビのメロディラインもとてもいいです。

こうやってヒット曲は作るんだよ、という見本の様な曲ですね。


「Take Good Care Of My Baby」~オリジナル音源

「Take Good Care Of My Baby」~ビートルズのカバー/リード・ボーカルは何とジョージ

「Take Good Care Of My Baby」~Smokieのカバー/こちらもなかなかポップで良いですね

ハイウェイメンが1961年にリリースしてアメリカ中でヒットし、全米チャートで見事No.1を獲得した「漕げよマイケル」は、日本に入って来たアメリカン・フォークミュージックの中でも特に有名になった曲のひとつでしょう。

このハイウェイメンもアメリカの大学生5人で結成されたグループですが、この頃アメリカでは全米でカレッジ・フォーク・ブームの嵐が吹き荒れており、各大学のキャンパスで盛んにフォーク・コンサートが開かれておりまして、キングストン・トリオやブラザーズ・フォアを始めとして数多くのフォークユニットが大学から誕生してプロ・デビューしていました。

この時代は、ロックンロールはティーンエイジャーが夢中になって騒ぐもので、大学生はちょっとスマートにフォーク・ミュージック、という図式があった様です。

この「漕げよマイケル」は、原曲が黒人霊歌で、旧約聖書の「エジプト脱出記」の中で出て来るヨルダン河を下る話が元になっておりまして、ハイウェイメンはとても敬虔な気持ちを込めて清く美しく歌っております。

この曲が大ヒットした後に、数々のフォーク・グループに取り上げられる様になりまして、数多くのカバー・バージョンを生んでいます。


「漕げよマイケル」~ハイウェイメン

ジョー・ダウエルの1961年のヒット曲「ウドゥン・ハート」は、原曲がドイツ民謡で、それに手を加えて出来上がったというちょっと変わったヒット曲です。

途中にドイツ語の歌詞を交えて歌われておりますが、これは原曲に敬意を表しているという事なのでしょうね。

曲をお聞き頂くと、「このメロディは昔から知ってるぞ」と言われる方も多いのではないでしょうか。

このとても素直で清らかなメロディは、日本では「さらばふるさと」というタイトルでおなじみの曲で、ある程度の年齢の方は、「♪さらば、さらば、我がふるさと、しばしの別れぞ今は~♪」と小学校の音楽の時間に歌った記憶があると思います。

アメリカでは最初、エルビス・プレスリーが映画「GI.ブルース」の中で取り上げたのですが、シングルカットしたのはジョー・ダウエルという事で、彼のヒット曲として有名になっっております。


「ウドゥン・ハート」~オリジナル音源

「ウドゥン・ハート」~プレスリーのバージョン

サム・クックは、リズム&ブルース・シンガーというよりは、かなりポップス寄りの良質な音楽をリリースし続けた偉大なるアーティストです。

サム・クックが持っている個性が、コテコテのR&BよりもポップR&Bといった路線の方が合う、という事なのでしょうね。

この1961年のヒット曲「キューピット」も、上質のポップスという仕上がりで、サム・クックの歌も、とても伸びやかで聞き心地が良く、素晴らしいとしか言い様がありません。

この曲は後に、ダイアナ・ロスとシュープリームスもカバーしておりまして、こちらのバージョンもとても魅力的でした。


「キューピット」~オリジナル音源/アニメと一緒にお楽しみ下さい

「キューピット」~こちらはダイアナ・ロスとシュープリームスのカバー

ボビー・ルイスが1961にリリースして見事にヒットチャートのNo.1を獲得した「トッシン・アンド・ターニン」は、いかにも、というノリノリのご機嫌なリズム&ブルースです。

曲の作りとしてはほとんど3コードなのですが、アレンジ的にはサックスの使い方やリズムのきめなど、この時代のR&Bの典型的なパターンで作られていまして、思わず乗せられてしまう様なカッコよさがあります。

ボビー・ルイスは他に何曲もNo.1ヒットソングを持っておりまして、アメリカでは当時から黒人のビッグ・アーティストなのですが、何故か日本での知名度は今一歩です。

これはどうやら、バタくさいR&Bは余り日本人受けしない、という事なのでしょうか。


「トッシン・アンド・ターニン」~オリジナル音源

ディー・クラークは黒人のシンガー・ソングライターで、この曲も自身の作品として1961年にリリースしてヒットしたものです。

まず雨の音、そして雷鳴、それからイントロが始まる曲のタイトルが「レインドロップス」ですから、いかにも、というSE(効果音)で、とても効果的ですね。

雨と雷のSEで成功したヒットシングルとして真っ先に思い浮かぶのは、カスケーズの「悲しき雨音」でしょう。
冒頭で雨と雷の音が聞こえるだけで「悲しき雨音」を想像する方も多いのではないでしょうか。

所が、「悲しき雨音」がヒットしたのが1963年でしたから、イントロで雨と雷のSEを使って成功した曲としては、この「レインドロップス」が本家なのですね。

それと、同様の雨と雷のSEが印象的なのがロネッツの「Walking In The Rain」で、こちらも名曲の誉れ高い作品です。
こちらの方は'60年代の後半にウォーカー・ブラザーズもカバーしてヒットさせておりました。

この「レインドロップス」、余りR&Bの色が濃くなくて、どちらかというと聞きやすいポップス調の部分が多いのですが、途中少しブルーになる部分があり、やはりこの時代によくある単純にネアカな曲とは一味違う構成になっております。


「レインドロップス」~オリジナル音源

パット・ブーンが1961年にリリースした「ムーディ・リバー」は、またまたヒットチャートのNo.1を飾る曲でした。

曲のタイトルから「ムーディーな川」という事でロマンチックな中身を想像しがちなのですが、歌詞を見るとそうではなく、濁った川に飲み込まれて亡くなった恋人を偲ぶ、という内容になっており、それで日本語タイトルに「涙の~」と付いてるのですね。

軽やかなタッチのミディアムテンポの曲ながら、ちょっとしっとりと歌うパット・ブーンのボーカルがとても印象的であり、それにピアノのフレーズがうまく絡まるというアレンジになっていて、その辺がヒットした理由でしょうか。


「涙のムーディ・リバー」~オリジナル音源

「涙のムーディ・リバー」~当時のTVショーより

ドリフターズという人気黒人コーラスグループのリードボーカリストとして活躍後、ソロシンガーとして独立したベンE.キングが放った、彼最大のヒット曲であり、今やすっかりスタンダードとなったのがこの1961年にリリースされた「スタンド・バイ・ミー」です。

楽曲の作りとしてはとにかくシンプルで、同じフレーズがリフレインされ、それで段々と盛り上がって行くという構成になっております。

これはリズム&ブルースなどの黒人音楽に良く出て来る手法で、同じフレーズ等がずっとリフレインされていくうちに、聞く人に完全にインプットされてしまうのですね。

ですからこの曲はA-F#m-D-E7という8小節の循環コードが延々と繰り返されるだけ。
「えっ? それだけなの?」というくらいコード進行は超簡単なんですね。

そしてその循環コードを支えているベース・ラインがこの曲のミソであり、そのベース・ラインは曲の個性化に大きな役割を果たしておりまして、曲のメロディラインと対比的に進行する様に上手く出来ている良いフレーズで、曲が終わるまでにはもうその8小節のフレーズをまんま覚えてしまいます。

進行的にはシンプルな循環コードだけなのですが、良いメロディと良いアレンジでこんな名曲になるのですから、これがポップス・マジックなのでしょうね。

またこの曲は、1987年に同じ「スタンド・バイ・ミー」というタイトルの映画が公開された時にタイトル曲として使われており、そのお陰で再びトップ10入りするというリバイバル・ヒットを記録しています。

それでオールド・ファンだけでなく、幅広い年代の方に聞かれている訳ですね。


「スタンド・バイ・ミー」~オリジナル音源/プロモ映像

リジェンツが1961年に放ったヒット曲「バーバラ・アン」は、ドゥ・ワップ調で作られている楽曲全体がとても個性的であった事と、後にビーチボーイズにカバーされ、そのバージョンも大ヒットした事からポップス史にしっかりと足跡を残しています。

この曲は、「♪バー・バー・バー、バーバーラ・ア~ン♪」という印象的な歌い出しで始まり、全編に渡るコーラスとファルセット・ボイスがとてもインパクトのある特徴的なヒット曲でした。

ですからビーチボーイズの方も原曲を特に変える事なく、素直にそのままカバーしておりますが、コーラスとファルセット・ボーカルと言う、まるでビーチボーイズの為に有ったのでは、というくらいぴったりとマッチした楽曲で、ライブでも必ずと言っていいほど取り上げられておりました。

リジェンツというグループは早くから姿を消しましたが、それよりも楽曲の「バーバラ・アン」の方はポップス・ヒストリーの中で長い寿命を誇っていますね。


「バーバラ・アン」~リジェンツのオリジナル・バージョン

「バーバラ・アン」~こちらはビーチボーイズ/TVショーのステージより